外壁塗装の相談を受けていると、
「まだ塗装しなくても大丈夫ですか?」
と聞かれることがあります。
実際に家を見て、
「この状態なら、まだ急がなくても大丈夫だと思います」
とお伝えすることもあります。
私たちは、まだ必要のない工事まで急いで勧めたいとは思っていません。
ただ、その一方で、
すべての家に「まだ大丈夫です」と言えるわけではありません。
長く現場を見ていると、
「もう少し早い段階で手を入れていれば、ここまで大きな工事にはならなかったのに」
と思うこともあります。
外壁や屋根は、傷み方によっては時間が経つほど補修する範囲が広がり、結果として工事費用が大きくなることがあります。
今回は、必要以上に不安を煽るのではなく、
「急がなくてもいい家」と「先延ばしにしない方がいい家」の違い
について、現場を見てきた立場からお話ししたいと思います。
外壁塗装は「何年経ったか」だけでは判断できません
「築10年だから塗装した方がいい」
「15年経っているから、もう危ない」
このような話を聞くことがあります。
確かに築年数は、一つの目安にはなります。
ただ、私は年数だけで塗装の必要性を判断することはできないと考えています。
同じ築10年、15年でも、
- 外壁材の種類
- 使われている塗料
- 日当たり
- 雨風の当たり方
- 建物の形
- シーリングの状態
- 過去のメンテナンス
などによって、傷み方はかなり違います。
15年経っていても比較的状態の良い家もあれば、それより短い年数でも補修を考えた方がいい家もあります。
だからこそ大切なのは、
「何年経ったか」ではなく「今、どんな状態なのか」
を見ることだと思っています。
私が「もう少し様子を見てもいい」と考える場合
外壁を調査しても、大きな傷みがなく、塗膜やシーリングの状態も比較的良ければ、すぐに全面塗装をする必要がない場合があります。
多少の色あせや汚れがあったとしても、それだけで建物に重大な問題が起きているとは限りません。
そういう場合には、
「今すぐ工事をしなくても、少し様子を見ていいと思います」
とお伝えすることがあります。
せっかく相談していただいたからといって、必ず工事につなげなければならないとは考えていません。
ただし、反対のケースもあります。
「まだ大丈夫」と簡単には言えない状態もあります
私が現場を見ていて気になるのは、
そのままにしておくことで、傷みが次の段階へ進んでしまう可能性がある状態です。
例えば、
- シーリングが大きく割れている
- シーリングが剥がれて隙間ができている
- 外壁に深いひび割れがある
- 外壁材が反ったり浮いたりしている
- 塗膜が剥がれ、下地が露出している
- 水を吸って外壁材が傷み始めている
- 金属部分の錆が進んでいる
などです。
もちろん、こうした症状が一つあったからといって、すぐに家全体が危険になるという話ではありません。
ただ、
傷みが表面だけで収まっているうちに対応するのか、内部まで進んでから対応するのかで、工事内容が変わることがあります。
ここは、実際の現場を見ていてとても大切だと感じています。
早ければ「補修+塗装」で済んだものが、大きな工事になることがあります
例えばシーリングです。
シーリングは、外壁材と外壁材の間などに入っていて、雨水の侵入を防ぐ役割があります。
年数が経つと硬くなったり、ひび割れたり、外壁から離れたりします。
初期の段階であれば、シーリングを適切に補修して塗装することで対応できる場合があります。
ところが、その状態を長く放置して水が入り続けると、外壁材そのものが傷んでしまうことがあります。
そうなると、
シーリングを直して塗装すれば終わり
ではなくなります。
外壁材の部分的な張り替えや、下地の補修などが必要になることもあります。
結果として、工事の範囲も費用も大きくなります。
外壁のひび割れも「ひびがある」というだけでは判断しません
外壁のひび割れについても同じです。
細かなひび割れがすべて緊急性の高いものとは限りません。
建物にはさまざまなひび割れがあり、幅や深さ、場所、外壁材などを見ながら判断する必要があります。
一方で、雨水が入りやすいひび割れを長期間そのままにすると、下地側まで傷みが進む可能性があります。
だから私は、
「ひび割れがあるから、すぐ塗装しましょう」
とは考えません。
大切なのは、
そのひび割れを今直した方がいいのか、それとも経過を見られる状態なのか
を確認することです。
屋根は「塗装できる時期」を過ぎてしまうこともあります
これは屋根でも同じです。
屋根材の状態によっては、まだ塗装でメンテナンスできる段階があります。
しかし、傷みがかなり進んでしまうと、
「塗料を塗れば大丈夫」
とは言えなくなる場合があります。
屋根材そのものが傷んでいたり、塗装に適さない状態になっていたりすれば、カバー工法や葺き替えなど、別の方法を検討しなければならないこともあります。
塗装より大きな工事になれば、当然費用も変わります。
だからといって、
「屋根は早く塗らないと大変なことになります」
と不安を煽る必要はありません。
ただ、
塗装で対応できる状態なのか、それとも別の方法を考える段階なのか。
これは早めに状態を知っておく意味があると思っています。
外壁や屋根は、何でも塗れば直るわけではありません。
状態によっては、塗装以外の方法を考えた方がいい場合もあります。
▶「職人が『これは塗装では直りません』とお伝えすることがあります|無理に塗装を勧めない理由」
「急がせること」と「先延ばしのリスクを伝えること」は違うと思っています
ここは、私たちが大切にしているところです。
私は、
「今日契約しないと危険です」
「今すぐやらないと大変なことになります」
と必要以上に不安を煽って工事を決めてもらうことには違和感があります。
しかし反対に、
本当は傷みが進んでいるのに、
「まだ大丈夫ですよ」
と無責任に言うこともできません。
先延ばしにすることで工事が大きくなる可能性があるなら、それもきちんとお伝えする。
そのうえで、
今工事をするのか。
少し待つのか。
部分的な補修にするのか。
まず状態だけ確認しておくのか。
お客様自身に判断していただく。
それが私たちの考える「急がせない」ということです。
私自身、「もう少し早ければ」と思った現場を何度も見てきました
長く塗装の仕事をしていると、いろいろな状態の建物を見ることになります。
その中には、
「あと数年早く見ていれば、ここまで直さなくても済んだかもしれない」
と思う現場もあります。
もちろん、建物の傷み方は一軒一軒違いますので、
「○年放置するとこうなる」
と単純には言えません。
それでも、
傷みが軽いうちに手を入れる方が、結果として工事を小さくできるケースがある
というのは、現場を見てきて感じていることです。
だから最近は、
「まだ大丈夫です」
ということだけではなく、
「これは、あまり長く先延ばしにしない方がいいと思います」
ということも、必要であればきちんとお伝えしたいと考えています。
家によって傷み方は違うため、塗装が必要かどうかを判断するには、実際の状態を見ることが大切です。
私が現地調査でどこを確認しているのかについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
▶「私が現地調査で最初に見る場所|外壁塗装の前に確認していること」
「塗装するか」より先に、「今の状態を知る」でもいいと思います
外壁が気になり始めたからといって、
すぐに塗装工事を決める必要はありません。
ただ、
気になっているのに何年も見ないままにしておく
こととは少し違います。
一度状態を確認して、
「まだ大丈夫」
なのか、
「そろそろ考えた方がいい」
なのか、
「ここだけは早めに直した方がいい」
なのか。
それが分かるだけでも、今後の予定は立てやすくなります。
塗装をするかどうかは、そのあと考えてもいいと思います。
外壁塗装は、早ければ早いほどいいというものではありません。
まだ状態が良ければ、無理に工事をする必要はないと思っています。
一方で、
傷みが進み始めている家まで、
「まだ大丈夫」
と言うこともできません。
今なら比較的小さな補修で済むものが、時間が経つことで外壁材や下地まで傷み、大きな工事になることもあります。
だから私たちは、
急がせないことと、必要なことを伝えないことは違う
と考えています。
まだ大丈夫なら、まだ大丈夫とお伝えする。
少し注意して見ておいた方がいいなら、その理由を説明する。
先延ばしにしない方がいい状態なら、それもきちんとお伝えする。
そのうえで、どうするかを一緒に整理していく。
それくらいの距離感で、外壁塗装を考えていただければいいのではないかと思っています。
ご相談について
「塗装を頼むと決めたわけではないけれど、一度状態を見てほしい」
という段階でも大丈夫です。
調査した結果、まだ急ぐ必要がないと判断すれば、そのようにお伝えします。
反対に、先延ばしにすることで傷みが進む可能性がある場合には、その理由もできるだけ分かりやすくご説明します。
工事をするかどうかを決める前に、
まず今の家の状態を知る。
そこから始めていただいて構いません。
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